からだの話を聴く
フォーカシングとは
「言葉にならない感情や気持ち」を絵やマンガで描くなかで、心身の不調を減らしたり、仕事の生産性を高めやすくするアートセラピーのやり方です。(ユング心理学がメインになりやすい傾向)
心理学的に、「言葉にならない感情や気持ち」を描いたあと、それから感じたり、思ったことを話すと、自分を客観視し(外在化)、セルフマネジメント力やメタ認知を高めやすいと言われています。
効果と科学的根拠
- 心身の不調に気づくことで、重たい病気になりにくくなる。
【根拠】問題の外在化/メタ認知 の向上→予防行動をエンパワメントする。 - ストレスマネジメントができ、仕事の生産性が高まる。
【根拠】コルチゾールの低下、前頭前野の活性化による客観視 → クリエイティブ性と論理性のバランスをとる。 - ストレスによる食べ過ぎ、飲みすぎ、買いすぎが減る。
【根拠】問題の外在化/コルチゾールの低下 →「すぎる」行動を減らそうとエンパワメントする。
参考文献
- ナタリー・ロジャース:表現アートセラピー 創造性に開かれるプロセス、2000年
- 関則雄:アートセラピーの理論と実践、2016
- Barbara Jean Davis : Mindful Art therapy A foundation for Practice, 2015
フォーカシングのやり方
用意するものは、A4用紙、サインペン、色鉛筆のみです。色鉛筆以外に、クレヨン、絵の具を使っても大丈夫です。
▼こちらでフォーカシングのやり方を見れます。
やり方
- 相談したいことをもとに、今回の絵の「テーマ」を決める。
- 深呼吸をして、落ち着いた状態で、体を描く 。
- 言葉であらわせない感覚、感情を色や形で描く 。
マンガを描いて、ストレス発散して、自分らしい人生になるよう心の整理をしたいなぁ。
ポイント
- 上手い下手は関係なく、頭で沸き上がった色や形を、自由に好きなように描く。
- 現れたイメージに、良い/悪いは決めず、ありのままな気持ちで眺める。
からだの話を聴いてみましょう。
表れたイメージと気持ち
ズキズキするよ。働きすぎ!(PCを長時間使うことによる肩の痛み)
もやもやするから、がんばるな。(情報過多により脳の情報処理が困難)
ジンジンするから、休んでほしい。(立ち仕事でのふとももへの負荷)
思っていたよりも体が疲れていましたねぇ。
漫画を描いたりして、体を休めて、自分にやさしくしないといけないかなぁ。
自律神経が調整しにくくなり、ストレス反応がでているかもしれません。
マンガを描くと、心理学的にカタルシス効果(心のデトックス)が見られると言われているので、ワンさんがおっしゃるように好きな漫画を描くことは重要と感じます。
多忙と過労で、気づきにくい体の不調
今回のワンさんのように、多忙になって、自分の心、体のケアができずに、だれにも相談できていない方が多くいらっしゃるように思います。
これは、少子高齢化による人手不足、長時間働くことを「美」とする文化など、さまざまな要因が重なって、過労になりやすいからではないかと思います。
そして、日本人の性格として、まじめに、誠実に、人と向き合う反面、自分自身の辛さやきつさなどを押し込めてしまう傾向があるようです。
しかし、その辛さやきつさをため込んでしまうと、不眠、自律神経失調、腰痛、イラつき、食べ過ぎるなど、心身の不調が起こってしまいます。
2021年度の過労死等防止対策白書では、製造業、卸売・小売業、医療・福祉の業界で精神障害になる例が多いようですので、どうか無理されませんように。
フォーカシングで、自分にやさしく。
今回のフォーカシングは、好きなように絵やマンガを描くなかで、日ごろのストレスを客観視し(セルフカウンセリング)、体の不調を減らすことができる心理学的やり方です。
とくに、コロナ、災害などで、心身ともに不安定になりやすい現代では、体の不調を減らしたり、ストレス発散に役立つと思われます。
ご興味のある方は、ホームページ、youtubeをご覧ください。
働きすぎませんように🌛
参考文献
厚生労働省:過労死等防止対策白書、2021年